<Old boyfriend>
























「なぁ…
2人で歩いて帰る途中に会話に行き詰まってると侑士が話難そうに言って来た。

「あんなぁ…」
なかなか切り出せない侑士の言いたい事ってきっとあの事だと思う。

「どうしたの?」
言っても大丈夫なのに意外と優しいからあたしの為何だよね。

「…………」
黙り込むのは何で?
あたしは平気。
ずっとずっと前から覚悟してたから。

「別れよっか」
侑士にはあたしは合わない…ふさわしくない。
何よりあたし達が付き合い出したのがなんとなくで始まったから。
なんとなくの始まりにシアワセはない。
なんとなく終わるだけ。

「…知ってたん?」
驚いてあたしの顔を見る。
レンズ越しの眼は見開いてる。
きっともうこの綺麗な瞳にあたしは映らない。

「あたしもそう思ってたから」
別れたい訳じゃないけど、駄目だと思うから。

「ごめんな」
あたしと離れて侑士は侑士の世界に行ってしまう。
もうあたしは一緒じゃない。

「あたしもごめんね」
そうして1年間付き合い続けた彼氏、忍足侑士と別れた。
1年は長くて…、でもあっと言う間だった。










それからほんの少しの時間会わなくなった。
テニスが忙しい時期だから。
跡部は別れた事をもう知ってる。
他の部員は未だ知らない。
わざわざ言う事でもないだろうし。









、探したで」
数学の授業が面倒で屋上でサボってると懐かしい声がした。

「どしたの」
探したって言ってたけど、今は授業中。
来る筈はないのに。

「たまには一緒にサボろ思うてな」
こうして遠回しに言うって事は何か話があるって事だ。

「用件は」
昼過ぎで暖かい陽射しが眩しい。

「俺彼女出来たわ」
「へぇ」
他に何とリアクションが欲しいのか解らない。

「もっと何か言ってえな寂しいわ」
そう言われても…。

「元カノに新しく彼氏が出来た時の元カレの心情が解るわ」
それだけ言うと丁度チャイムが鳴った。
立ち上がってあたしは屋上を出た。








その約1ヶ月後。

「あれ?何してんの」
また屋上で会った。

「ん…」
眠そうな顔してボーッとしてた。

「跡部がありえん位練習増やしたんや」
大会が近いから当然だ。

「お疲れ様」
離れた所に座った。

「なぁ今楽しい?」
「まあまあ」
持って来た雑誌を広げる。

「忍足飲物ある?」
「………何か変やな」
何が?

「苗字で呼ばれるん」
ムズ痒いと。

「彼女に悪いからね」
「そうなん?」
「元カノが近くにいる人とは付き合いたくないし」
どんなに好きでも嫉妬で醜くなりそうだし。

「ほれ」
ペットボトルのお茶をくれた。
2人とも別の事をして1時間の暇を持て余した。















先輩!」
下校途中に後ろから大声で呼ばれた。
前の委員会が同じだった後輩。

「一緒に帰りません?」
特に断る理由もなかったからOKを出した。

「あたし跡部に用あるけど」
「待ってますよ」






無邪気な笑顔であたしに何度も『好きです』と言った。
ゆっくり付き合いたいとも段々好きになって下さいとも。
可愛いって思った。

「良いよ」






それが1週間位前の話。
初めて今日一緒に帰る。

ちゃんだ〜」
「ちょっと待ってて」
話ながら歩いてたらテニスコートに着いた。
ジロー君の声が聞こえて振り返ると跡部が一緒にいた。

「跡部、担任から」
頼まれたプリントを跡部に渡して軽い説明をしてあたしの用はあっと言う間に終わった。

「なあなあ、あいつ誰?」
向日が飛び跳ねながら忍足と一緒に来た。

「1コ下の彼氏」
地面に置いてた鞄を拾いあげてさり気なく言った。

「何時別れたんだよ」
「何時から付き合ってんの?」
相変わらず元気な人ばかりいるテニス部。

「1週間前から付き合ってるよ、後は忍足に聞いて」
待たせてるから長い事話てる訳にはいかない。






「ごめんお待たせ」
走って行くと笑った。

「もう良いんですか?」
「帰ろ」
なんとなく手を繋いだ。






「良いのか侑士」
良い訳ないやん。
普通に彼氏言うたであいつ。
あんな風に笑た事ないし。


『元カノに彼氏が出来た男の心情』


「あいつが言うたん今なら解る気するわ」
寧ろぴったりやな。

「はぁ?」
岳人が意味解らねぇってぼやいて居なくなった。

「お前もこんな気分やったん?」
「こない事なら付き合えば良かったわ」
彼女が出来た訳やないんやで。
ちゃんと断ったんや。

「あんな嬉そうな顔されちゃなぁ…敵わんわぁ」
苗字で呼ばれるんはやっぱ嫌やな。

「置いて行くなや」
















何だか上手く書けないッス。
『元カノに新しい彼氏が出来た元カレの心情』って言葉を使いたかっただけです。
なので特に何の構成もなく書いたものです。
何時もそうなんですけど構成が苦手なんですよ。
プロット立てると話書くのが面倒になって…。
どんなだよ…って感じですけどそうなんですよ。
七夕の小説も途中からプロット立てだしたらやる気が…。
忍足はこんな空回りヘタレが良いなぁ♪(ただの好みです
結構お気にです感想頂けると嬉しいですv
2005/07/15